株やFXの経験を持つある人と話していた時に、「毎月数万円でドル円を購入しています。レバレッジも3倍程度でおさえていて、ドルコスト平均法なので、リスク低いですよね?」と言われました。
僕は、外貨へのドルコスト平均法への投資は、結局はロングポジションを積み上げることになっているので、最終的にはドル高にならないと利益にはならないので、リスク低いとはいいきれないと伝えました。
ただ、お互いあまり時間がなかったので、これ以上話すことができず、彼もそんなに納得した様子ではありませんでした。
今回は、FXでドルコスト平均法は無意味だと思う理由について改めて説明したいと思います。
ドルコスト平均法とは
ドルコスト平均法とは、毎月ある一定の金額分、金融商品を購入し続けていく投資法です。定額投資法とも言われます。
たとえば、毎月5万円購入するとすると、
4月に5万円購入、5月に5万円購入、6月に・・・
といった感じで、ある金融商品を一度にたくさん購入せずに、決められた金額分購入するのです。
このような投資手法だと、毎月購入する金融商品の数量が異なります。
その金融商品の価格が高いときは、金融商品の数量は少なくなり、
逆に金融商品の価格が安いときは、金融商品の数量は多くなります。
この理由は、計算式をみると、もう少しわかりやすいかもしれません。
購入金額 = 金融商品の価格 × 購入数量
この式に、購入金額=5万円を代入すると、
5万円 = 金融商品の価格 × 購入数量
の式が成立し、価格が上昇したときに購入する場合は、数量が小さくなり、
逆に価格が低下したときに購入する場合は、数量が大きくなります。
このように、高値で買いすぎないようにし、安値でたくさん購入するような投資手法は、
非常にわかりやすいですし、また毎月コツコツ購入するという方法が、
投資信託やファンドへの投資をすすめる際の方法として適している部分もありますので、
いろいろなサイトで紹介されています。
ただ、その紹介しているサイトを読んでいていつも思うのが、ドルコスト平均法が適している商品と適していない商品があることを書いていないこと。
その中で特に私は、ドルコスト平均法はFXには適していないと思っています。
その理由は、FXは投資対象が「成長」していくものではなく、それぞれの国の経済状況、金利差、受給などを判断して「トレンドにのるもの」だと思っているからです。
もう少し詳しく説明します。
ドルコスト平均法がFXに適していないと思う理由
ドルコスト平均法は、ようするにロングポジションオンリー
ドルコスト平均法は、価格が上がった時には少なく買い、下がった時には多く買う投資手法です。
一言でいうとロングポジションを持つということです。
ロングポジションを持つのであるから、最終的には価格が上昇しなければ利益になりません。
株や株価指数、株式ファンドなどは基本的にはロングポジションを持っていいと思います。
成長が期待される株
なぜなら、基本的に「成長」が期待されているから。
一般的に企業は利益成長を続けることを期待して経済活動を続けています。
利益成長できれば自分たちの給料が上がるので当然です。
企業が成長すると株価は上がるので株主も企業の成長を期待しています。
株の集合体である株価指数も成長が期待されている
株の集合体である株価指数も成長することが期待されています。
日経225が上昇する背後には、ユニクロやソフトバンクなどの日本企業の業績が伸びているということなので、これは期待されるべきことですよね。
このように「成長」への期待が裏にある金融商品に対してロングポジションを持つドルコスト平均法はいい投資手法だと思います。
しかし、FXはそうではありません。
FXは2国間の通貨の交換比率
FXは2国間の通貨の交換比率です。
アメリカの1ドルが日本円では何円か?
トルコの1リラが日本円では何円か?という交換比率であるから、FXへ投資するときに考えなければならないことは、
2国間のお金の流れはどうだろうか?というトレンドの把握です。
ドル円では、アメリカに資金が流入しているのだろうか?流出しているのだろうか?ということだけではなく、日本の資金需要はどうなのだろうか?まで考えなければなりません。
ドル円は「1ドルあたり◯円」ということで、分子と分母があります。
分子と分母の資金の流れを把握しなければなりません。
仮に分子の部分の国の経済がよくて、資金需要が強かったとしても、
分母の部分の国の経済がさらによくて、資金需要がものすごく強かった場合は、
その通貨ペアはずっと目減りしていくでしょう。
このようなずっと目減りし続けるという金融商品に対して、
毎月◯円購入するというドルコスト平均法は、リスクが低いと言えるでしょうか?
FXは2国間の通貨の交換比率なので無限大を目指しているわけではない
理論上の話になりますが、株や株価指数は価格が無限になることを目指しています。
利益がどんどん積み上がり、株価があがることはいいことですよね。
社員の給料は上がっているだろうし、株主の資産もどんどん増えていることでしょう。
しかし、FXは無限大を目指しているわけではありません。
ドル円の為替レートは、購買力平価説という理論を使うと、以下の分数式でおおよその値が計算できます。
iPadの日本円での価格/iPadの米ドルでの価格
ここで、
ドル円が無限大になるとはどういうこと?
iPadの日本円での価格が無限大になるか、
iPadのアメリカでの価格がゼロドルに近くなるかのどちらかです。
この2つの状況はどういう状況でしょうか?
どちらかの経済が大混乱に陥っているということですよね。
かつて、アフリカの国ジンバブエが発行したジンバブエドルが、ハイパーインフレーションによって価値を失い、
1米ドルが3.5京ジンバブエドルというレートになったそうです。
交換比率が無限大になるということはこういう状況がどちらかの国に発生しているということです。
そして、交換比率に対してドルコスト平均法によって片方のポジションを持つということは、そういうおかしな経済状況を期待しているということです。
ドルコスト平均法のリスクが低いのであれば逆のポジションはリスクが高いのか?
また、別の観点からドルコスト平均法がFXには適していないことを説明します。
ドルコスト平均法は「毎月◯円購入する」という投資手法です。
もし、「日本人が毎月◯円分のドルをドルコスト平均法で購入する方法は、リスクを抑えらる」というこの文が正しいのであれば、
逆のポジションを取ることはリスクが高いはずです。
つまり、「毎月◯円分のドルを売る方法は、リスクが高まる」ということです。
ただ、ここで毎月◯円分のドルを売る方法というのは、
「アメリカ人が毎月◯円分の円を買う」という方法です。
この毎月◯円分の円を買うということこそドルコスト平均法ではないでしょうか?
アメリカ人は円を「ドルコスト平均法で購入している」のにもかかわらず、リスクが抑えられていないのでしょうか?
矛盾していますよね。
このように、ドルコスト平均法でのポジションが低リスクだとすると、その逆のポジションはリスクが高まっていることになります。
しかし、その逆のポジションというものは、海外の人からみたドルコスト平均法であり、リスクが低いはずだったものです。
ドルコスト平均法はロングポジションを持ち続ける投資手法
ドルコスト平均法はロングポジションを持ち続ける投資手法です。
ロングポジションを持ち続ける投資手法であるために、その投資対象は理論的に「成長」を期待できる金融商品にすべきです。
株や株価指数、株式投資ファンドは理論上、「成長」を期待する金融商品です。
しかし、FXは理論上「無限大」を期待しません。
2国間の交換比率で無限大を目指すということはどちらかの国が破綻している状況です。
FXは無限大を目指すのではなく、2国間の経済の状況等によってその時々の流れができているだけです。
そのため、FXではその流れ(トレンド)を読み、買ったり売ったりする必要があり、
それを無視したドルコスト平均法は不適だと思っています。