いま、高校受験生に英語を教えています。
生徒に英語の長文読解の読み方や解き方、コツを教えているうちに、このノウハウは一度文章にして見える化したほうがいいなとおもったので整理しました。
ただし、こちらは高校受験や大学受験生向けの入学試験に出てくる長文読解問題のノウハウです。日本語訳の問題や英訳の問題がない試験を受験される方向けではありません。
英検でいうと3級から2級、TOEICでいうと〜600点くらいだと思います。
英語長文読解を解く前に、まずその文章を読みこなすまでの単語力をつけること
まずは、英単語を覚えないと話になりません。
英語長文読解のノウハウを伝えようが、まずそこに書いてある単語の意味がわからないと解けません。
『文の前後から意味を類推する』などのテクニックもありますが、そのアドバイスが有効なのは、文の前後の文の意味がわかっていることが前提です。
文の前後の文も英語で書いてありますので、やっぱりその文の単語の意味をわかっていなければなりません。
そのためには英単語の暗記です。
英単語の暗記方法については別投稿で解説します。
英語長文読解を解きながら、単語を覚えていく
英語長文読解対策のために、まずは基本単語や基本文法を覚えておくべきなのですが、『まだ単語を覚えていないので英語読解問題はやらない』という人もいます。
その人その人のゴールと、ゴールまでの期間がどのくらいあるかにもよるので、答えは一つになりませんが、
英単語暗記に終わりはない
ので、ある程度の単語を覚えたら英語長文読解対策に着手したほうがいいと思います。
早めに英語長文に触れることで、自分の課題が浮き彫りになります。
例えば、『英語を読み込むのに必要な集中力や読解のスピードアップが必要だ』などの課題は、英単語暗記をやっていても気がつくことはありません。
英語長文読解は、設問文から読み、何を問われているかを把握すること
まず、文章からではなく、設問文から読みます。
それには3つ理由があると思っていて、
- 文章から読むと、次に設問文を読んだ後、また文章を読む必要があり、時間がかかる。
- 文章には、問題とは関係がない文もあり、そこを読んでいては時間がもったいない。
- 一度設問文を読んで、『どういうことが書いてあるのか?』を頭の中に入れておくと、脳が自動的に『解答検索モード』になり、答えを探してくれる。
1〜3のポイントの共通するポイントは、『時間を節約するため』ということです。
『英語長文読解』に触れる時というのは、何かのテストや資格試験など、時間制限があるペーパーテストだと思われます。
なかには時間制限がないテストもあるかもしれませんが、その時はゆっくり好きなように文章を読んで、解答にあたってください。
ただ、一般的には時間制限があるためスピード勝負になります。そのスピード勝負の試験で結果を出すためには1から3のポイントが重要になってくるはずです。
1.文章から読むと、次に設問文を読んだ後、また文章を読む必要があり、時間がかかる
まず、文章から読むと、一体どんなことが問題になっているのか知らないまま読み進めることになり、効率が悪いです。
非常に高いレベルの英語力を持っていれば、英文をスラスラ読み込み、そして内容を記憶して最後まで読了し、設問文を読んで解答できるかもしれませんが、私の経験から、スラスラ読み込み、英語の文章を記憶することは簡単ではありませんでした。
わからない単語が多い文章を読んでいると、「あれ?これなんだったかなぁ・・・どういう意味かなぁ?」といった雑念・・・しかも日本語による雑念が生じはじめ、日本語の雑念が出てくると、英文を読むスイッチが切れてしまいます。
それから、こんな状態で読んだ英文は頭に全く入っていないことが多いので、設問文を読んだ後に、「あれ?なんだったかな?そんなこと書いてあったかな?」となって、また同じ文章を読むことになり、時間を浪費するだけになってしまいます。
2.文章には、問題とは関係がない文もあり、そこを読んでいては時間がもったいない
また、文章には解答には不要な文もたくさんあります。
学生の時は意識しないかもしれませんが、長文読解問題の文章は、『英語のテストのために作られた文章』ではなく、一般的にでまわっている文章、例えば新聞やコラムや、書籍から抜粋された文章なので、設問とは関係のない文がたくさん含まれています。
そもそも、読解問題がテストする学生の力は『書いてあることが正しく読めますか?』であるため、書いてあることは一般的にでまわっている文章でいいわけです。
決して『テストのために作られた文章』、ひいては『学生をひっかけるためのパズル』ではありません。
3.一度設問文を読んで、『どういうことが書いてあるのか?』を頭の中に入れておくと、脳が自動的に『解答検索モード』になり、答えを探してくれる。
設問文を読み、「Sandyがおばさんからクッキーをもらった場所はどこか?」とわかっていたほうが、脳が文章を読むときにも「Sandyがおばさんからクッキーをもらう」という取っ掛かりを意識して文章を探し出すので、答えに到達しやすいです。
脳は問い掛けをしてあげると自動的に答えを探すという習性があるといいます。
カラーバス効果という言葉をご存知でしょうか?
カラーバス効果
Color bath effect
カラーバス効果とは、意識することによって始めて、そのことに関する情報を集めるようになるという脳の働きのことです。
設問文を読んで、問われていることを意識して文章を読みすすめると答えをキャッチしやすくなります。
パラグラフリーディングで文章把握
次に大切なのは、設問文を読んで、『問われていること』を意識した後はパラグラフ(段落)毎に意味を抑えておくことです。
先程記載しましたが、長文読解問題の文章は、新聞やコラムや、書籍から抜粋された文章なのです。
このような文章は、すべて作家、校正者、編集者といった数名のプロフェッショナルが、”たくさんの人に読みやすいように、わかりやすいように”書かれた文章です。
そのわかりやすく書かれた文章は段落にも意味があって、その段落毎の意味をとらえるとその文章の全体がわかりやすくなります。
日本語の現代文の読解問題では、全ての文章について意味がわからないということはないと思いますが、英語の長文読解問題では、自分の単語力によってよくわからない文などが出てくると思います。
そういうときに、段落毎に意味がわかってさえいれば、全体がわかることがあります。
段落の一番最初と一番最後の行は簡単に日本語訳をして、そのポイントを余白にメモしてみてください。その段落のおおよその意味がつかめます。
空所補充問題は文脈をおさえること
最後に、空所補充問題や傍線部の役など、問題に直結する箇所は文脈をおさえることに注意してください。
『文脈』とは、文章のなかで個々の文と文の間の論理的な関係、続き具合のことです。
『文脈をおさえる』とは、空所や傍線部の『前の文章』と『後ろの文章』をよく読むことです。
文章はたくさんの文が連結しあって意味を形成しています。
一つひとつの文だけを日本語訳したり、英訳する問題は単語帳や文法書で単語と文法をしっかり暗記しておけば解くことができます。
しかし、文章の中の文の問題を解くときには、単語力だけでなく、文脈をおさえる、つまり問題となっている箇所の前の文章と後ろの文章をよく読んで、意味をしっかりととってから解答するようにしてください。
そうすることで、本来曖昧な文や語の意味が、一つに定まり、答えと判断することができます。
英語の長文読解問題を解く時の心得のまとめ
1 設問文から読み、何を問われているか把握する
2 パラグラフリーディングをして文章全体を把握する
3 問題となっている箇所の文脈をしっかりとおさえる
以上です。