東急ハンズの目指す独自商品
今回のテレビ東京ガイアの夜明けは『東急ハンズ』。国内外62店舗を構えているが、売り上げは伸び悩んでいるといい、新進気鋭のライバル店が多数あり、雑貨の戦国時代と呼べる状況だという。
東急ハンズ・木村成一社長は“ハンズらしい”や“ハンズならでは”の商品をより増やしてこれまでのやり方から大きくかじを切る必要があると危機感を感じているという。現在のハンズオリジナル商品は全体の約5%程で、この数字に改革を加えるべく、多くの挑戦に取り組んでいる。
日用品にユニークなアイデアを加味した「花色鉛筆」
まず、ヒット商品を生み出すべく共同開発しているのが『トリナス』。企業が持つ技術・素材に、一般人から募集したアイデアをマッチングし、新しい物を生み出す会社。メーカーの人からはなかなか引き出せない自由なアイデアを商品にする事で様々なヒット商品を輩出している。「花色鉛筆」という丸形・多角形の無機質な形ばかりだった鉛筆を桜、紅葉といった花の形にする事で物珍しさと華やかさを演出している。ここにも古紙由来の樹脂という「中小企業が開発した技術」と、フリーのデザイナーの「アイデア」をマッチングさせた事で誕生している。
アイデアと技術の融合が生んだ「ミナモ」
他にも、ステンレスの器に綺麗な水面を再現した商品『ミナモ』。神戸の町工場の精巧なプレス技術と当時大学生のアイデアにより製作を可能にした。
東急ハンズのプロジェクトwatote(ワトテ)とは?
そんな『トリナス』と『東急ハンズ』が共同で企画しているのがプライベートブランドを生み出すべく、個人から商品企画を募集し賞金やロイヤリティを還元する『watote(ワトテ)』と呼ばれるプロジェクト。
日本の伝統芸能「和紙」を使った新しい商品開発。募集したアイデアから、和紙の団扇・和紙の帽子・和紙の傘など様々なアイデアから、和紙を使ったエコなラップを採用し製品開発に着手。ミツロウ等を練りこみ、従来のラップ同様の使用感をキープしつつ、野菜の保存状態はアップさせる事に成功させる。現在コスト問題のみ課題を残しつつ商品化を目指している。
東急ハンズと伝統工芸が作り出す未来
一般人のアイデアを全力で具現化させる東急ハンズ。そこには自社の生き残り戦略ばかりではなく、先細っている伝統工芸などに革新的なアイデアを融合させ、新しい命を吹き込み活気を取り戻す事にも取り組んでいる。
東急ハンズの「アイデアを買い取る」とは違う、共同開発者として共に歩み寄り、体現できるよう大手企業から町工場等まで発案者の意図を組んだ技術を形にしようとする情熱に心を打たれる回だった。