中学受験生や高校受験生に算数や数学を教える機会があり、生徒達の勉強を見ていると、各々自分の好きな勉強方法で勉強していました。
それを見ていると、「こうしたほうがいいのになぁ」、「その勉強方法は意味ないのにな」、「それはやらないほうがいいのになぁ」と思うことが度々あり、また生徒に教えることはだいたいおんなじことが多いので、今回整理しようと思いました。
記事の最後にすぐに印刷できるPDFシートを用意しました。
【数学の勉強方法】問題演習はノートに解きましょう
これは数学に限らずすべての勉強に言えますが、テキストや問題集に直接問題演習を書き込むことは非常にもったいないです。
別途、勉強方法・暗記方法の解説をしようと思いますが、勉強の基本は『繰り返すこと』です。
人の記憶は、その覚えたい事柄(単語や定義、概念)を繰り返し思い出すことによって強化されます。
だからこそ、問題集には演習を書き込まず、きれいに保っておき、何度も演習ができるようにしておくべきなのです。
もし、問題集に演習を書き込んでしまったら、再度演習をするときに自分が書いたところを隠したりと一手間必要で、効率が悪いです。
学校の宿題などで、『答えは問題集に書き込み、問題集を提出すること』という指示がない限り、問題集には書き込まず、ノートに書き込むようにしましょう。
余談ですが、学校の先生が問題集に書き込ませて提出させる気持ちはわかります。なぜなら、丸付けや問題をやったかどうかのチェックがやりやすいんです。
『問題集をノートに解き、ノートを提出』という指示をすると、生徒はそれぞれのノートに自分たちの好きなように演習をし、先生からすると何ページのどの問題を解いたのか、最後まで解いたのか、途中のページもしっかり解いたのかというのがわかりにくくなります。
成績があまりよくなく、勉強する習慣や、宿題をしっかり提出する習慣のない生徒には、問題演習をやったかどうかをじっくりとチェックする必要がでてくるので、ノートを提出させるよりも問題集を提出させるほうが効率的なのです。
【数学の勉強方法】ノートは縦に2分割にし、左側だけに演習し、右側はあけときましょう
数学は短い文章で論理を展開していくので、1行の長さはそんなに長くなくてもいいです。
ノートを縦に折って2分割するくらいがちょうどいいです。
皆さんが持っている数学の問題集の答えの冊子を見てみてください。
縦に2分割されていることが多いと思います。
これは、短い文章で論理展開していく数学の特徴です。
それから、2分割したノートに演習をした後に答え合わせをした後に何故間違えたのか、今後どうすればいいのかといった振り返りをするために、
①日付
②参考書・問題集の名前
③問題番号
などの情報をしっかり記載するようにしてください。
【数学の勉強方法】ノートに演習する際は消しゴムで消さない
ノートに演習する場合、計算ミスしたり記載を間違えたりした場合でも消しゴムで消さないようにしてみてください。
数学は漢字や文法、理科、社会といった暗記系の科目ではありません。
私は、数学は考え方(数学的思考法、論理的な考え方)を学び、それを表現する科目だと思っています。
授業では考え方を学びます。そして演習では、『数学的考え方ができており、それを表現できますよ!』ということを求められます。
そのため、常に数学的な考え方の筋道を意識しなければならず、計算ミスや記載間違いなどあった場合でも、それを書き残すことが、考え方の道筋をチェックするために必要だと考えています。
例えば、計算ミスした場合、その計算ミスをした箇所を消さずに残していれば、再度答えまで軌道修正するときも、
(なるほど、ここで間違えたのか!)と確認することができ、
(ここはこうすべきだった)と正しい道筋を論理的に見つけることが出来ます。
もし計算ミスを消した場合、その計算ミスを引き起こした原因を見落とす可能性が高くなります。
「計算ミスの原因など覚えているよ!」という方もいらっしゃるとは思いますが、大学入試の二次試験の記述問題などしっかりと考えなければならない問題は、計算ミスの原因を頭の中に短期記憶するよりも、消さずにそのまま答案用紙上に残しておいて、脳のメモリーを『思考に集中』させたほうがいいです。
また、そのような難しい記述問題は消しゴムでゴシゴシ消す時間も無駄にできないことが多いので、消さないほうがいいです。
さらに、消しゴムでゴシゴシ消すと思考が止まってしまい、重要な試験のときほど焦りが生じます。
数学の計算ミスや記述ミスを消しゴムで消す行為はデメリットしかないので、消さないようにしてみてください。
回答に必要な『思考』に集中できることがわかります。
【数学の勉強方法】で一番重要なこと:間違えた問題に対して、しっかりと復習し、その後正解できるようになるまで再度解き直すこと
以上、ノートへの書き方や、記述に対して消しゴムを使わないなどの準備の話をしましたが、いよいよ本題です。
数学の勉強方法で一番重要なことは、演習した後に間違えた問題に対して、答え合わせをすると思いますが、その後に再度解き直しをしてその時は実力で正解できるようにすることです。
数学が得意ではない人はその解き直しを疎かにしている人が多いです。
答えを見れば、「なるほど、このように解けばいいのか。わかった!」と理解できると思います。
ただ、それで終わってはいけません。
解法を読んで理解できることと、問題を出されたときに実際にその解法を再現して答えを出すことは全く別です。
自分の経験や、多くの生徒の間違った問題に対する生徒の解き直し後の結果を見てみると、間違った問題を再度解き直しをして正解を出せるかどうか、自分に対してテストをしてみないと、本当にその問題を解けるようになっているかどうかわかりません。
間違った問題は、次に同じ問題に出会った時に解けるように、必ず解き直しをしてください。
【数学の勉強方法】間違えた問題だけを解き直しする。正解した問題は解き直し不要
上述したとおり、数学の成績をあげるためには間違った問題に対しては正解できるように解き直しすることが大切です。
そのため、日々の問題演習の時点から、自分が次に解き直ししやすいように準備をしておかなければなりません。
まず、前提として、一度何も見ずに解けた問題に対しては、解き直しは不要です。
数学は暗記系の科目ではなく、考え方を身に着けて、それを表現する科目です。
そのため、一度正解した問題は、次に解くにあたっても、身につけた『考え方』によって再度正解する可能性が高く、もう一度解く必要性は低いです。
もちろん、一度解けたとしても、次に解いた時に間違える可能性はあります。しかし、時間は有限です。定期テストや入試や、各自期限が決められたターゲットがあるので時間を有効活用するためにも、間違えた問題だけを解き直すようにしてください。
“正解したけど、次にまた解くときには間違えるかも?”という問題は試験の前の総チェックの時にもう一度試験範囲の問題をすべて解いた時に、洗い出され、その時に間違えたらそれを解き直せばいいだけです。
正解した問題に対しての不安は取り除き、『間違えた問題を、次は正解できるように解き直す』ことに集中してください。
【数学の勉強方法】間違えた問題だけを解き直しするため、問題のチェックボックスにチェックを入れる
数学の勉強は、間違った問題に対して、次に同じ問題に出会った時に正解できるように、解き直しを必ず行うことです。
そのため、演習の都度、間違った問題と正解した問題を『仕分け』しておくことが大切です。
私が生徒に教えている問題のチェックボックスへのチェックの方法を紹介します。
STEP1 問題をノートに解いたあと答え合わせをし、間違った問題については問題集のチェックボックスにチェックを入れてください。
STEP2 次は、チェックボックスにチェックがついている問題(間違った問題)だけを解き直す
STEP3 解き直し後、更に答え合わせをし、また間違った問題にはチェックを追加する。
解き直し後、正解したら、チェックを◯で囲んで『正解した』ということがわかるようにする。
◯で囲まれた問題は、一度正解した問題なので解き直しする必要はなくなりました。
チェックが追加された問題のみを、また解き直ししてください。
STEP4 間違った問題について、正解するまで解き直しをしてください。
間違った問題について、正解するまで解き直しをしてください。
正解した問題は解き直しをする必要はないです。
解き直して何度も間違える問題は、以下のように間違えた回数がわかるようなチェックをするといいです。チェックが多い問題があなたの弱点です。考え方や解き方がわかっていない可能性があるので、先生に質問しましょう。
正解した問題は◯をつけ、その問題に対しては解き直しはしなくていいと認識してください。
【数学の勉強方法】間違えた問題だけを解き直しする手順のまとめ
STEP1 問題を解き、答え合わせをした後、間違った問題のチェックボックスにチェックを入れる
STEP2 解き直し後に答え合わせをし、再度間違った問題にチェックを追加する
STEP3 チェックの入ったままの問題に対して、正解するまで解き直す
数学の勉強方法のまとめ
・問題演習はノートに解く
・ノートは縦に2分割にし、左側だけに演習する
・ノートに記載中、計算の途中にミスしたり記載ミスしても消しゴムは使わない
・問題集のチェックボックスへのチェックを工夫し、間違った問題に対して、正解するまで解き直しをする
これらをしっかりできるようになれば、数学の成績は上がると思います。